展示蒸気機関車

三笠鉄道村で展示している蒸気機関車

蒸気機関車とは、石炭などの火力で水を沸騰させて蒸気を発生させ、この蒸気を動力源に走行する機関車です。鉄道の主力として活躍していましたが、燃費が悪いことや、機関士・機関助士に過酷な作業環境を強いることから保存用を除いて全廃されました。

蒸気機関車には、石炭や水を積むための「炭水車」を連結した状態で運転される「テンダー式」と機関車本体に石炭や水を積む「タンク式」があります。

三笠鉄道村に展示している機関車では、S-304形とC12形がタンク式、9600形がテンダー式です。

タンク式機関車は長距離走行が苦手ですが、バック運転がしやすいなど小回りが利きます。テンダー式は長距離を走ることができますが、基本的に起終点で転車台によって向きを変える必要があります。

左図撮影場所:国鉄幌内線幌内駅(現在の三笠鉄道記念館付近)
撮影:伊藤博康 氏 1975年03月29日
左図撮影場所:国鉄幌内線幌内駅(現在の三笠鉄道記念館付近)
撮影:伊藤博康 氏 1975年03月29日

炭水車を連結するほどに沢山の石炭と水を必要とする蒸気機関車ですが、例えば9600形に積むことができる石炭の量は6tですから、中型のダンプトラック1台分になります。水の量は13m3ですから家庭のお風呂60杯分くらいになります。これで走行距離は130kmくらいと言われています。

三笠鉄道村では、この3両の蒸気機関車を保存・展示しております。S-304形は、動態保存機として実際に走行しております。9600形・C12形は機関庫内にて静態保存しております。

S-304

S-304は、1939年に日本製鉄輪西製鉄所(後の新日本製鐵室蘭製作所)向けに作られた産業用機関車です。同僚のS-205とともに国内では最後まで現役で働いた蒸気機関車です。S-304号の最後は鐵原室蘭コークス工場で働いていました。その後、同僚のS-205は室蘭市内で静態保存され、S-304号は動態保存機として三笠鉄道村へやって来ました。三笠鉄道村でのS-304は客車を牽引するための改造が施されており、運転体験も可能です。

SL機関士体験クラブ

三笠鉄道村では、S-304を実際に運転体験することができる「SL機関士体験クラブ」を開設しています。18歳以上の方で自力で機関車に乗車できる方ならどなたでも参加できます。(有料)

S-304主要諸元

製造年1939年(昭和14年)最高速度38km/h
廃車年1986年(昭和61年)動輪直径1,067m
製造所日本車輌ボイラ圧力13㎏/㎠
軸配置C(3軸)機関車重量29.5t
全 長8,386m水タンク容量4.5㎥
全 高3,550m燃料積載量1.8㎥
全 幅2,670m

59609(国鉄9600形機関車)

9600形は、1913年から1926年までに770両製造された国産では初めての本格的な貨物牽引機です。牽引力の割に軸重が軽いという特長を持っていたため、なかなか代替の機関車が登場せず、蒸気機関車末期まで活躍しました。特に幌内線では、長大編成の石炭列車を牽引するなど主力として活躍しました。

9600形の符番

9600形の番号は、1号機が9600、2号機が9601としますが、101台目は万の位に1をつけ19600となります。同様に100台ずつ万の位に繰り上がりますので、三笠鉄道村に保存されている59609は9600形の510号機となります。

59609主要諸元

製造年1922年(大正11年)最高速度65km/h
廃車年1976年(昭和51年)動輪直径1,250m
製造所川崎造船所(現在の川崎重工業)ボイラ圧力13㎏/㎠
軸配置1D(4軸)機関車重量59.82t
全 長16,563m炭水車重量34.50t
全 高3,813m水タンク容量13.00㎥
燃料積載量6.00㎥

C12 2(国鉄C12形機関車)

C12形は、1932年から1947年までに293両製造されたローカル線および入換用機関車です。一度の燃料積み込みで走行できる距離が短いものの、バック運転がしやすいため広く全国で使用されました。

C12 2は晩年、苗穂工場で入換用に使用され、その後、円山動物園で屋外保存されていましたが、現在は59609とともに屋内で保存されています。

C12 2主要諸元

製造年1932年(昭和7年)最高速度75km/h
廃車年1969年(昭和44年)動輪直径1,400m
製造所汽車製造会社ボイラ圧力14.0㎏/㎠
軸配置1C1(3軸)機関車重量50.00t
全 長11,350m水タンク容量5.5㎥
全 高3,900m燃料積載量1.5㎥